砂浜環境保全策 砂浜を攪乱する

白塚の浜を愛する会では、専門家の指示のもと、草原化した砂浜を数年に一度トラクターを使って人工的に攪乱をしています。

3月21日(第3日曜日)に攪乱をした所に埋まっている草を取り除く作業をします。早く取り除かないと草がまた復活をしてしまいます。みなさんお手伝いをよろしくお願いします。

今回の浜メシは、海藻で二酸化炭素削減第2弾「あおさ餅」です。おいしいですよ。

 

2021年3月11

関係者各位

津市白塚町1874-3

白塚の浜を愛する会 代表 西口恵子

連絡先 09076052102

 

お願い 私たちと一緒に草を取ってください

 

日頃は白塚の浜を愛する会の活動にご支援をいただきありがとうございます。当会では自然豊かな砂浜として未来に受け継ぐために白塚海岸の保全活動を行っています。その一つとして良好な砂浜環境を維持するために除草作業を行っています。

今月も行いますが、今回の除草作業はいつもの作業より人手が必要です。しかしながらこのような状況下では広く県民や市民に呼び掛けることが出来ません。そこで一人でも多くの方に参加をお願いする次第です。

 

3月7日に砂浜を人工的に攪乱し裸地を作るために砂浜の一部をトラクターでかき混ぜました。そのままにしておくと根がまた付いてしまいます。そこから草を取り出す作業をします。その作業を一緒にしていただきたいのです。私たちも頑張りますのでよろしくお願いします。

・作業道具は当会で準備をさせていただきます。

・駐車場は志登茂川浄化センターの駐車場をご利用ください。

321日 午前9時開始1130分終了です。(雨天時 中止)

 

 

トラクターを砂浜に入れる保全作業について、専門家から効果、影響についてご意見をいただいていますのでご確認をおねがいします。

小型トラクターによる裸地造成の効果とその必要性

 

白塚海岸には、カワラハンミョウ(三重県絶滅危惧IA類、環境省EN)が生息する。「三重県野生動植物種」にも指定されており、条例によって厳重な保全がなされるべき昆虫である。

この種は、かつて日本各地の海岸や大河川の砂浜には比較的普通に見られたものであるが、1960年代以降、海岸堤防の建設、過度の海岸利用、ダム建設や河川改修などによって、その殆どの生息地では絶滅してしまった。愛知県や岐阜県の生息地も1990年代に絶滅してしまい、現在、日本国内における健全な生息地は、数か所に過ぎない。

 

この昆虫の生息には、広く奥行きのある砂浜が必須で、海浜植物がごく疎らに生えたような環境を好む。成虫は裸地で活動し、他の昆虫を捕食する。また、裸地の砂地に産卵し、幼虫はそこに巣穴を掘って2年間を過ごす。したがって、砂浜が草で覆われてしまって、草原化すると、この昆虫は消えてしまう。

白塚海岸は、現在も比較的広い砂浜が維持されており、そのことで伊勢湾沿岸では、唯一、最後に残されたカワラハンミョウの比較的安定した生息地になっている。

 

しかし、生息地背後に下水処理施設が建設されたことによって、砂浜への風の通りが悪くなり、施設建設後、砂浜の草地化が急速に進んでしまった。

草原化したところには、本種の巣穴は見られない。また、ビロウドテンツキ(三重県絶滅危惧II類)、カワラナデシコといった希少植物も少なくなる。さらに、アカウミガメ(三重県絶滅危惧II類、環境省EN)の産卵地、シロチドリ(三重県絶滅危惧IA類、環境省VU)の営巣地としても適さない。

 

「白塚の浜を愛する会」では、15年前から、毎月手作業による除草(外来植物とチガヤなどの路傍雑草)をおこなっているが、下水処理施設建設後は、手作業だけではまったく追いつかなくなってきた。

 

そこで、2013年に試験的に草原化の著しい数か所をパッチ状に小型トラクターで開墾し、チガヤなどの除草を行ったところ、その砂浜表面が攪乱された部位では数年間にわたって裸地が維持され、カワラハンミョウの巣穴数の増加とカワラナデシコ、ビロウドテンツキの再生が確認できた。

 

その後、2018年には、やや広い範囲を開墾したところ、やはり同様の効果が認められた。

 

20213月には、とくに草原化が顕著で本種巣穴が全く確認できない150×30m、50×15mの部位を開墾した。この部位も8月になれば、カワラハンミョウの成虫が活動し、産卵をするようになるものと期待される。

 

かつてグラウンドだった部位が、2013年冬季、中南勢流域下水道事務所の英断によって砂浜に復元された。また、堤防かさ上げ工事に伴って、かつて枯死木が目立つクロマツ植栽地だった部位が砂浜に復元される予定である。

しかし、これらの場所についても、堤防かさ上げに伴って風抜けが悪くなり、そのままではいずれ砂浜は草原に姿を変えてしまうことは避けられない。

毎年冬季(幼虫が地中深くで休眠状態にある)に、パッチ状に場所を変えながら小型トラクターと手作業を併用して除草することで、砂浜環境の維持ができるものと考えられる。

 

伊勢湾沿岸に残されたもっとも貴重な自然財産であるカワラハンミョウの生息できる砂浜環境を何とか維持したいものである。

 

 

文責:秋田勝己(三重県レッドデータブック改訂委員会専門委員)